紀の国坂

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勤めていた頃、朝は地下鉄四谷駅から勤め先の虎ノ門まで約3Kmを歩くのが日課であった
四ッ谷駅を出てすぐだらだらと赤坂見附へ下る坂が紀の国坂である
上智大学のグラウンドを見下ろしながら、春には桜満開のトンネルを行くのはすがすがしいものであった
その紀の国坂を舞台としてラフカデイオ・ハーンがこわ~い怪談「むじな」を書いている
丁度、坂を降りきったお堀のあたりでの話である

《 ある真っ暗な晩、紀の国坂を行商人が歩いていた
するとお堀端で若い女が腹を抱えてうずくまってうんうん唸っているのを見て、行商人が「どうしたのですか、どこか痛むのですか」と親切に声をかけたが女はただ唸るばかり・・・
おやじはまた「どうしました、大丈夫ですか」と何度も何度も声をかけると、やがて女がす~っとこちらを振り向いたその時・・その顔は目鼻口の無いのっぺらぼうだった
おやじは仰天して大声で叫びながら息せき切って坂を上って助けを求めた
やっとの思いで屋台のそば屋を見つけて駆け込み、弾む声で店のおやじに今見てきた事を話した
するとそば屋のおやじが、「あんたの見たのはこんな顔だったかい」と振り向いたその顔はのっぺらぼうだった》というもの・・・、昔は街灯もなく闇の中を提灯頼りに歩いていたのだろうから想像すると確かに怖い話だ
当時の庶民の清涼剤としてこのような怪談が大流行したのだろう
紀の国坂を歩くたびに「むじな」を思い出して、なぜかお堀側は避けて通る自分がいた


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